猫とじゃんけん

ショウヘイは人のようにふるまうのだが、夫の足の上でじゃんけんを披露したこともあった。

嘘ではない。

 

グー

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チョキ

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パー

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パー!!

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 じゃんけんと言えば、地方色豊かな風習だ。

私は京都の嵯峨育ちなのだが、たしかその頃のじゃんけんの掛け声は

「じゃ~ん~け~ん~で、ほ~い」あいこだった時には「あいこでしょ」

どこかのんびりとしたものだったが、小学校の途中で湘南に転校になってから、

「最初はグ!じゃんけんほい!」「あいこでしょ!」と超高速になったので全然ついていけず最初気まずい思いをしたことを覚えている。

このじゃんけんは県民性も表していて京都の中でも嵯峨といえば平安時代から田舎扱いで、(更に言うと京都市内でない「京都」はもはや「京都」扱いされない)このじゃんけんのリズムものんびりしているし子供たちも一様にのんびりしていて特に女子は物をはっきりと言わないおしとやかな文化だった。

湘南に来てからは皆早口で話すし、歯に衣着せぬ物言いで面食らった。だがほどなくして私もすっかり関東色に染まり、むしろ心地よくなった。今では周りにいる誰よりきつい物言いをしているという自覚がある。久しぶりに京都の友人に会った時には、私の口調の変わりように皆驚いていた。その時もはっきりと物を言うようになったねとは言わずに、神奈川に住んで、すっかり洗練されてしもたんやなあとやんわりと指摘を受けたのだが。

地方色豊かといえば、航空会社に就職したときが一番それを感じた。

大学もそれなりに地方からの学生がいたのだが、CAの比ではない気がする。当時都内や神奈川の実家から羽田の近くにある訓練センターに通っていたのは私を含めて数名で、逆に珍しがられた。

私の同期にはもちろん北は北海道、南は沖縄出身の子もいて、それぞれイントネーションが違っていて、地方出身者はアナウンスの訓練は苦労していたようだった。

少し上の先輩は奄美大島出身で、本当に南国のエキゾチックな美女という顔立ちで、よく会社に雑誌の取材が来て、表紙を飾ったりしていて、後輩たちの憧れの対象だったのだが、その先輩の同期によると、新人の頃は音読の時になまりがすごすぎてお笑い担当だったといたずらっぽく明かしてもらい、意外な一面を知ったような気がした。ちなみに「あんな美人やけんね、」と博多弁丸出しで話してくれたその先輩も美人だった。大人になってからじゃんけんで何かを決めるという機会がなくなってしまったが、もしあの当時に戻れるなら、皆のじゃんけんの掛け声を聞いてみたいと懐かしく思う。