桃の節句に桃色の万年筆 ビスコンティ 花咲く桃の木

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ここ数週間、急に万年筆が欲しくなった。

きっかけは、夫の父にバレンタインのチョコレートを贈る際に、添え状を書いた時だった。久々に手紙を書くことになったのだが、改めて手紙のマナーなどを調べていると、ボールペンは相応しくない、毛筆か万年筆を使えとある。万年筆は持っていないので、仕方なしに和紙の便箋に筆ペンで認めた。

毎度筆ペンを使うのも現実的ではないし、いい大人なのだから自分用に万年筆を持っておくべきだとの考えに至った。

そこからは寝ても覚めても万年筆。万年筆について日夜調べた。

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どの本やネットの情報を読んでも、まずは国産の金のペン先の、1万円クラスのモデルをメーカーごとに試してみろとある。

もしくは初心者にお勧めされているのが5000円以下なら大体この2本だ。

どちらも優れた万年筆なのだろう。

上の2本のどちらかにしようかと決めかけたのだが、一応近所の文具店に行き、ショーケースの中の万年筆を覗いてみた。

そこにはくだんの国産万年筆やパーカーやクロスの万年筆も多少は置いてあった。

だがしかしときめかない。

世の中には万年筆のコレクターなる人たちがいて、20本はざらで、多い人は数百本に及ぶ万年筆を持っているようだ。だが本によると万年筆は頻繁に使うことが何よりのメンテナンスだから、普通の人は3本以上は持たないほうが良いらしい。

ということはである。

最初に初心者だからと妥協して買った万年筆は、そのうち本当に見た目が好きな1本を購入した後はお蔵入りになる可能性が高いと気づいた。

だって普段手帳に記入するペンは1本で事足りているし、今の生活で1日の中でどれだけの文字を記入するかは知れている。

それで私は最初の1本(おそらく最初で最後の1本)として見た目に惹かれたイタリアの万年筆を選び、ネットで購入するという非行に走った。

ビスコンティのヴァン・ゴッホシリーズの「花咲く桃の木」である。

まず、1万円どころか3万円を超えているのに金ペンではなくステンレスである。

そして軸は職人の手作業を大事にしているらしく、それぞれの見本画像を見ると1本1本にかなりばらつきがある。

若干不安に駆られながら到着を待ったが、手元にやってきたのは驚く程自分好みの色合いの1本だった。

間違いのない選択だった。

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だが私ははたと気づいた。

このピンクのインクでは手紙や書類は書けない。

かといって初期不良がないか確認するにはピンクのインクを入れるしかない。

インクを入れたらさすがに使わないと勿体ない。

もしかして普段用に黒のインクを入れたもう1本別の万年筆が必要なのではないか・・・。

とにかく今日は桃の節句である。はまぐりのお吸い物もちらしずしもないが、桃色の万年筆で桃色の文字を書き、夜にはロゼワインを飲もう。

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我が家の小さな女の子、れんげの健やかな成長を願って。