すき焼きにワインを合わせる 山椒をかけた場合の相性は?

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滋賀の両親からコロナに負けず元気をつけてと近江牛が送られてきた。

竹皮に包まれて、ただならぬオーラを放っているお姿に思わず歓声。

せっかくなので近所に住む実家の両親も招き久しぶりに賑やかな食事をとった。

すき焼きにワインは合うのか

和食とワインの組み合わせは既にスタンダードになりつつあるが、そうは言っても何を合わせて良いのか少し考えてしまうのではないか。すき焼きといえば日本酒か冷たいビールが定番だろう。

和食と西洋料理の違いの一つは砂糖の使用の有無だ。このあたりも(大方のワインと比較すると辛口を名乗っているものでも)やや甘い日本酒と和食の組み合わせは自然だ。

合うと言われるワイン

さて、すき焼きにはどのようなワインが合うと言われているのか。料理とワインの合わせ方のセオリーの一つに、色合いを合わせるというものがある。例えばサーモンにロゼワイン、白身魚のレモンソテーには白ワイン、ビーフシチューには赤ワイン、といった具合に。すき焼きは豆腐やえのき、白滝などの白い食材も入れるが、メインの牛肉は赤いし、割り下によって全ての食材が茶色く染まる。なので色合いという観点では赤ワインを合わせるのが妥当だろう。

ローヌの赤

すき焼きは甘辛く風味の強い料理だ。だからワインも繊細さの際立つものよりは風味の強いものが合わせやすい。南フランスのコート・ド・ローヌの赤ワインは黒コショウや鉄を感じるスパイシーながら果実味の豊富な赤ワインだ。

メルロー

風味が強いとはいっても、すき焼きはサシの入った柔らかいお肉を、溶き卵で柔らかくコーティングして食べる、食感としては柔らかい料理だ。

酸味も渋みも柔らかいワインと言えばメルロー種のワインだ。カベルネ・フランも柔らかいが、青っぽさが目立つものが多いし、メルローのほうが果実味がふくよかなものがものが多い。

マスカットベリーA

日本固有のブドウ品種、マスカット・ベリーAも日本の料理すき焼きには自然な組み合わせだろう。さつまいものような甘い香りと軽やかな酸味が特徴で、すき焼きの割り下には合いそうなイメージだ。

カリフォルニアなど暖地のピノ・ノワール

すき焼きのもつ甘辛さに果実味たっぷりでやや甘やかさのあるふくよかなタイプのピノ・ノワールを合わせることも多い。しっかりと効いた樽香はきのこ類にも合わせやすいだろう。

瓶内2次発酵で作られたフランチャコルタやイングリッシュスパークリングなどの発泡性のワイン

赤ワインではないが、先述のように和食の特徴であるみりんや砂糖による「甘味」を 合わせるのであれば、少し残糖のあるスパークリングワインも良いだろう。ただし、バターやトースト、蜂蜜のような香りがあるシャンパンよりも、もう少し酸味が穏やかで果実味の豊富なフランチャコルタや今話題のイングリッシュ・スパークリングを合わせてみてはどうか。

我が家のすき焼きレシピ

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すき焼きは地方や各家庭ごとにレシピが異なるが、我が家では関東風に割り下で煮込むスタイルだ。

酒、醤油、みりんが同じ割合の割り下を使う。途中煮詰まってきたら水ないしは昆布だしを加える。ちなみに砂糖は入れない。

具材は今回は牛肉の他は、春菊、焼きねぎ、焼き豆腐、しいたけ、えのき、白滝を用意した。

最初に牛脂でネギをこんがり焼いたところ、香ばしくて大変美味しかった。

試したワイン2本

マンズワイン ソラリス ユヴェンタ 2014

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長野県産メルロー種100%使用。

マンズワインの見学に行った際に現地で購入したものを最初に開けた。

長野のメルローらしく柔らかく上品な風味で、香りは穏やか。どこか醤油のような香りの要素もある。これはすき焼きにぴったり。日本酒とは違い、ワインには酸があるから、卵や高級肉で甘くなった口内をさっぱりと中和させてくれるので、普段より多くお肉を食べられる。良いのか悪いのか。

 

 信州小諸 中棚荘 中棚 御牧ケ原メルロー 2016

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2本目に開けたのは母と旅行に行った時に宿泊した中棚荘のワイン。

小諸は素晴らしく美しいところで、駅前の広場はセンス良く植栽されているし車で走っていても風光明媚で気持ちの良いところだった。中棚荘も設備こそ古いが食事も温泉も周囲の環境も静かで良く、とても良い宿だった。

醸造は、近く(といっても車でかなり坂をのぼる)にあるヴィラデストワイナリーだ。信州はここ数年ワイン造りが盛んだがまだまだ小さな作り手が多く、資金力の豊富な大きなワイナリーの醸造設備を借りて醸造しているところも多い。

さて、中棚ワインは同じメルローでも随分と性格が異なる。

こちらのメルローは、酸がしっかりしており、清涼感溢れる味わい。ワイン単体なら好みはこちらか。ただし甘辛くボリュームのあるすき焼きにはソラリスの方がより合うと感じた。

この清涼感はもう少しあっさりとした食材に合うと思う。例えば私ならぶりの照り焼き、ごぼうのきんぴら、鮎の塩焼きなどの苦みのある魚も合わせてみたい。

 

山椒をかける

すき焼きと言えば和のスパイス山椒の出番だ。

だが、山椒をかけたところ、ワインとの相性がチグハグになった。山椒の独特の香りや痺れがミスマッチだったようだ。もしスパイスを足したいなら、ワインの要素にある黒胡椒やナツメグなどが良いかもしれない。

和食とワインを手っ取り早く合わせる時のコツ

今回は2本とも日本ワインということもあり、いつも通りのレシピでそのままワインがよくあった。

だがワインと料理の相性に自信を持ちきれない場合は、飲むワインを少し料理に加えるとよい。もしくは赤ワインを飲む場合にはルビーポートをみりんの代わりに少量風味付けとして加えてみても良いだろう。